2011 Fiscal Year Annual Research Report
滑らかな多様体で定義された微分方程式の解のなす普遍複体の理論の構成
Project/Area Number |
21740056
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 卓宏 九州産業大学, 工学部・住居・インテリア設計学科, 講師 (60435972)
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Keywords | 発散図式 / カスプ特異点 / ジェネリックな写像 |
Research Abstract |
本研究では,滑らかな多様体や滑らかなファイバー束の幾何構造をそれ上のジェネリックな写像の特異点を使って記述することを全体構想とする.その中でも特に,2次元や3,4次元といった低次元多様体の位相的な性質/幾何的な特性を多様体上で定義された微分方程式の特異性を使って研究するための理論を構成することを目的としていた.23年度は微分方程式への応用が顕著な発散図式N←M→Rの普遍複体を構成するために,発散図式芽に関する研究を行い,次の状況を把握できた:いま,Nを平面としM→Nをg,Rを直線としM→Pをfとする.gがカスプ特異点芽とすると,N上に(gの特異値集合として)よく知られたカスプの形が現れる.このとき,カスプの点から内側に伸びる直線上の点のgによる逆像にfを制限するとfの非退化特異点でfの値が等しくなるものが2つある. この考察を元に24年度には,発散図式N←M→Rの特異性をNで捕らえることで発散図式の普遍複体を構成しそのホモロジー群を計算する予定である. また,23年度に得られた考察はカスプ特異点に関することであるが他のジェネリックな特異点についても同様の考察を推し進めれば,よく分かっている写像g:M→Nにジェネリックな関数f:M→Rをくっ付けることで得られる写像(g,f):M→N×Rの様子が理解できるようになる.具体的な写像の構成は大域的特異点論では非常に重要な問題であることを考えると,23年度に得られた考察は非常に重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研費の初年度(21年度)から大学内でのポジションが変わったため,当初の予定よりも研究に割ける時間が少なくなった.この状況の変化に伴い本研究へのエフォート率が年々減少し,また研究打ち合わせ等に外の大学にも行きにくくなったため.
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に得られた考察を元に,発散図式N←M→Rの特異性をNで捕らえることで発散図式の普遍複体を構成し,そのホモロジー群を計算する予定である.最後にホモロジー類の幾何学的な意味を調べる際に具体例を構成する必要がある.問題が出てきた場合は研究集会等で多くの研究者に状況を説明しいろいろな意見,資料を収集する予定である.
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Research Products
(4 results)