2009 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン面のモジュライ空間の関数としてのリーマン面上の調和体積
Project/Area Number |
21740057
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
田所 勇樹 Kisarazu National College of Technology, 基礎学系, 准教授 (10435414)
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Keywords | 調和体積 / 反復積分 / リーマン面 / モジュライ空間 / トポロジー |
Research Abstract |
私はRiemann面の複素構造の違いに興味を持ち,研究を行っている.調和体積は,調和1形式に関するChenの反復積分を用いてHarrisにより定義され,複素構造のみに依存して決まる.調和体積を調べることにより,複素構造の違いを知ることが当面の目標である. 本年度は,調和体積を用いてRiemann面のヤコビアンにおけるある代数的サイクル,Ceresaサイクルと呼ばれる,の非自明性を示す新たな十分条件をみつけた.その結果を論文にまとめているところである.N次Fermat曲線から得られるCeresaサイクルの非自明性は,Harris(N=4)と私(N=6)の結果が知られていた.大坪紀之氏は,これらの結果を拡張し一般のN次Fermat曲線のCeresaサイクルの非自明性を示す十分条件を発見した.私は,彼の結果を利用し,数式処理ソフトMathematicaの数値計算を実行した.得た結果を述べる.以下,Nをある条件を持つ素数とする.N次Fermat曲線から得られるある代数曲線のCeresaサイクルの非自明性を示す新たな十分条件をみつけた. 本研究を進めるためにRiemann面,トポロジー,複素解析に関連する書籍を適宜購入した.国内の研究集会等に参加し研究者と議論を交わしたが,その際の旅費を科研費から捻出した.Riemann面のモジュライ空間のWeil-Petersson体積に関する研究を始めた.また,新たに一本の論文が採録された.
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