2009 Fiscal Year Annual Research Report
単体的複体の部分構造および極小反例に基づく位相幾何学的組合せ論の研究
Project/Area Number |
21740062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八森 正泰 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (00344862)
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Keywords | 単体的複体 / shellability / obstruction / sequentially Cohen-Macaulay / partitionability / flag complex |
Research Abstract |
本研究は位相幾何学的組合せ論の研究として、単体的複体の組合せ構造の研究をマイナー操作に関する極小反例の研究を軸として進めることを目標としている。本年度の実施計画としては、1.扱う単体的複体の組合せ的性質としてshellability, sequential Cohen-Macaulayness, partitionabilityを取り上げ、2.研究開始時までに研究代表者が行っていた頂点集合の制限操作に関する2次元の極小反例の理論を固めることを出発点とし、3.リンク操作を加えた場合の極小反例の理論を試みる、を挙げていた。本年度は主に1.の立場に立ち、2.については、これまでの証明を改良し、見通しのよい証明を与えた。また、3.についてもこれまでに得ていた洞察に明確な証明を与え、リンクと制限に関する極小反例(strong obstruction)についての知見から制限のみに関する極小反例(obstruction)についての結論を得ることができることを示した。この一連の研究における副産物として、「shellability, sequential Cohen-Macaulay, partitionabilityの3性質に関してobstructionは等しい」という予想を立てるに至った。これはこの3種の全く異なる性質(特に2つ目は組合せ的ではなく代数的・位相幾何学的な性質)がhereditaryを要求すると等しくなるということを意味し、もし成立すれば位相幾何学的組合せ論の立場から極めて重要な結果となる。上記2次元に関する研究成果によってこの予想は2次元以下では正しいことが確認でき、また、本年度の研究成果により、flag complexと呼ばれる単体的複体のクラスにおいてもこの予想が正しいことが確認された。これらの成果は1本の論文にまとめ、投稿中である。 また、本研究の応用を見据え、確率グラフの指標の期待値についての研究も進めた。
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