2011 Fiscal Year Annual Research Report
単体的複体の部分構造および極小反例に基づく位相幾何学的組合せ論の研究
Project/Area Number |
21740062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八森 正泰 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00344862)
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Keywords | 単体的複体 / shellability / obstruction / pure-skeleton / sequentially-Cohen-Macaulay |
Research Abstract |
本研究は位相幾何学的組合せ論の研究として、単体的複体の組合せ構造の研究をマイナー操作に関する極小反例の研究を軸として進めることを目標としている。昨年度は、研究初年度に得ていた、頂点集合の制限をマイナー操作とした場合の、shellability partitionability,sequential Cohen-Macaulayness等の極小反例に関する2次元の場合の理論の高次元への拡張を目指し、「Obstruction to shellability (shellabilityに関する頂点集合の制限をマイナー操作とした場合の極小反例)は最高次元のpure-skeletonのみnonshellableで残りの次元のpure-skeletonはすべてshellable」という性質が3次元までは成り立つことを示した、としていた。が、今年度の研究中に、この証明に一部誤りがあり、この事実は3次元では成り立たないことが明らかとなった。これを修正するため、当初の計画にも言及し、かつ、初年度にある程度の結果も出している、リンクをマイナー操作として追加した場合の極小反例の理論を取り入れ、「Strong obstruction to shellability (shellabilityに関する頂点集合の制限とリンクをとる操作をマイナー操作とした場合の極小反例)は最高次元のpure-skeletonのみnonshellableで残りの次元のpure-skeletonはすべてshellable」という性質が3次元までは成り立つ、という形に修正し、この事実の証明を与えた。証明法も昨年のものよりも議論をすっきりとした形にまとめなおした。この結果は、下記の口頭発表において発表した。この他、関連して、各pure-skeletonがマトロイドである単体的複体の性質や、グラフのindependence complexの性質、グラフ上のゲームの性質などについての研究も行った。 なお、雑誌論文の項目に記載の論文は、初年度に得て投稿し、昨年度中に証明を改良して改版の上で受理された論文(昨年度の報告書中で言及しているもの)である。また、口頭発表の4項目目は、昨年度に予定されながら震災で延期されたものである(昨年度の報告書中で言及)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、想定していた程度に毎年成果が出ており、計画より遅れているとも、計画以上に進展しているともいえないため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が本研究の最終年度となる予定である。まだ論文化されていない研究成果を論文の形にまとめるのが最終年度の重要な作業の一つである。また、これまでに得ている結果をさらに拡張すべく、高次元の場合に関する研究を引き続き進めたい。また、任意の制限やリンクに関して性質を仮定するという本研究の方向性はマトロイド性とも近い性質があるため、その方面の見方についても引き続き検討をしたい。
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