2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740066
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小川 朋宏 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 准教授 (00323527)
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Keywords | 量子情報理論 / 量子通信路 / 情報幾何 / 十分統計量 / 相互情報量 / 盗聴通信路符号化 / 通信路分解能符号化 |
Research Abstract |
1.盗聴通信路符号化は,正規受信者と盗聴者が使用する通信路のノイズ差を利用することで,盗聴者にメッセージに関する情報を一切与えない符号化方法である.これまでの符号化方法では正規受信者と盗聴者への通信路が既知である必要があったが,一つの符号化方法で多くの通信路に適用可能なユニバーサルな符号構成が望ましい.盗聴通信路符号化における符号構成では,正規受信者にメッセージを伝送するための通信路符号化と,盗聴者に対してメッセージを秘匿するための通信路分解能符号化(channel resolvability coding)に分けられることが知られている.21年度に古典および量子通信路に対してユニバーサルな通信路分解能符号化定理を証明した.22年度ではこの結果を発展させて古典通信路におけるユニバーサル盗聴通信路符号化定理を示した. 2.ビットコミットメントは将棋の封じ手を立会人なしで行う暗号プロトコルとして知られている.ビットコミットメントはノイズのある通信路と盗聴通信路符号化を利用することで構成できることが知られている.本研究では未知なノイズを利用したユニバーサルなビットコミットメントプロトコルについて検討を行った.さらにノイズを利用したビットコミットメントプロトコルをBCH符号に基づいて実装するアルゴリズムを作成した. 3.量子秘密分散法における一般化アクセス構造について,Smithによる具体的な符号構成方法が知られているが,符号化効率の点で改善の余地がある.本研究では参加者の部分集合に対して,量子状態の復元が不可能なこととHolevo量子相互情報量がゼロになることが同等であることを示した.これを利用してHolevo量子相互情報量を最急降下法を用いて最小化するアルゴリズムを作成し,計算機実験により単純なしきい値法ではないアクセス構造を構成した.
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