2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740066
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小川 朋宏 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 准教授 (00323527)
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Keywords | 量子情報理論 / 量子通信路 / 情報幾何 / 十分統計量 / 相互情報量 / 盗聴通信路符号 / 通信路分解能符号 / ビットコミットメント |
Research Abstract |
1.古典通信路を用いた漸近的なビットコミットメントプロトコルをBCH誤り訂正符号により計算機上で実装した.ビットコミットメント容量に近い性能を持ち,soundness,binding,concealing条件を満足する符号を,現実的な符号長(1024bit)と計算量で構成した.現在のビットコミットメントプロトコルは計算量的安全性に基づいており,将来の計算機性能の向上やアルゴリズムの発展によっては,安全性が十分に保証されていない.本研究で構成したビットコミットメントプロトコルは情報理論的安全性に基づいており,ノイズが利用できるという条件のもとで,参加者の能力を仮定しない無条件安全性が保証されている.また,本研究のビットコミットメントプロトコルでは,誤り訂正符号の符号化アルゴリズムのみを利用しており,復号アルゴリズムを必要としない(安全性の確認では復号アルゴリズムを用いた).そのため,提案プロトコルの計算量は少なく,非力な計算機でも現実的なスピードで実行可能である.また,今後,古典-量子通信路で同様のプロトコルを構成することが可能である. 2.古典的な二つの通信路V,Wについて,「(*)VはWにさらにノイズを加えた通信路である」という条件から前順序(pre-order)が定まる.本研究では,量子通信路のための予備実験として,この順序を判定するアルゴリズムを計算機上で実装した.Blackwell-Sherman-Steinの判定条件が知られているが,この判定条件により実際に(*)を確かめるのは計算量的に困難である.このため本研究では,(*)の条件からどれだけ離れているかを表すコスト関数を設定して,最急降下法により順序判定を実装した.この順序や判定アルゴリズムは,盗聴通信路符号化やビットコミットメントプロトコルにおける,ユニバーサルプロトコルの構成において有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
量子情報理論に関連した研究の進捗はおおむね順調であるが,計算機上の実装に時間がかかったため,成果発表(論文発表)が遅れている.また,情報幾何に関連した研究の進捗がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
成果の論文発表に重点をおいて研究を遂行する必要がある.
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