2009 Fiscal Year Annual Research Report
確率ボラティリティモデルに対する統計的漸近理論とその応用
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21740074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深澤 正彰 Osaka University, 金融・保険教育研究センター, 特任助教 (70506451)
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Keywords | 高頻度データ解析 / Euler-丸山法 / 離散ヘッジ戦略 / 確率積分 / 二次変動 / 摂動展開 / インプライドボラティリティ / 確率的ボラティリティ |
Research Abstract |
今年度は確率ボラティリティモデルを摂動モデルと見なしたときの、資産価格周辺分布の摂動展開の一般理論を構築した。これは高速平均回帰モデルを含む広いクラスに対してオプション価格、インプライドボラティリティの漸近展開を数学的に正当化するものであり、特にインプライドボラティリティ面の形状を、摂動構造、レバレッジ効果、ジャンプの分布等のモデルの特性量から直接に説明する、重要な結果である。得られた公式はモデリングやキャリブレーションに直接利用できるだけでなく、原資産価格データとオプション価格データの両方を用いた統計的推定理論を確立するための基礎理論となることが期待できる。原資産価格データのサンプリング時刻が非自明な確率構造を持つ場合の推定関数等統計的汎関数の漸近分布についても一般的な結果を得た。副産物として確率積分の離散化誤差に係る漸近有効性の概念を導入し、漸近的な意味で最適となるサンプリング法(時間分割法)を発見した。数値シミュレーションにより、この高頻度極限で漸近有効となるサンプリング法を現実的な頻度で適用しても、一般的に利用されているサンプリング法の推定精度(近似精度)を優越することを確認した。応用として確率微分方程式のEuler丸山近似の最適分割アルゴリズムや、デリバティブの最適ヘッジタイミングを構成した。特にこの最適ヘッジタイミングはガンマと呼ばれる一般的な感応度パラメータのみから陽に計算できるため金融実務界からも高く評価された。
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Research Products
(7 results)