2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740083
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
井上 潔司 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (10384653)
|
Keywords | 統計数学 / アルゴリズム |
Research Abstract |
私は統計的離散分布論の理論構築とその応用を意図した研究に携わっている.特に,最近関心を集めている「離散パターンに関する厳密分布論」を研究課題としている.近年,この分野は新たな方法論が提案され,また,工学的に重要な応用との関わりが指摘されて以来,活発に研究されている分野である.しかしながら,現在までのところ線形構造理論を中心に発展してきており,理論展開が強く望まれる非線形構造上での分布理論は未発展のままである.そこで,平成23年度はグラフ上へ分布理論を展開させることを意識し,「非サイクル有向グラフにおける離散パターンの厳密分布導出方法の提案」を課題として研究に取り組んできた.グラフ(各頂点が多値確率変数である非線形構造体)上での離散パターンの数え上げ問題に着手した.まずは,非線形モデルの提案をすることからはじめ,次に確率母関数を用いての厳密な確率分布の導出方法の提案を行った.さらには,種々のパラメーター推定問題も考察した.ここでは,数学・統計理論,数式処理,計算機実験,数値解析といった手法を総合する形で進めることを念頭に置き,計算機上で解析可能な理論結果の導出を目標とした.確立した方法論と計算機を用いたアルゴリズム的研究を接近させ,数式処理システムを用いた効率よい解析システム構築を行った.この研究成果は,「Distributions of numbers of runs and scans on directed acyclic graphs with generation」としてまとめ,国際的専門誌に投稿中である. また,並行して進めていた研究課題「可換2変量試行列における離散パターンの分布導出」も理論構築に見通しが立ち,今後は数値実験・アルゴリズム開発へとつなげていく予定である.
|