2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740085
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 一弘 Kanagawa University, 工学部, 特別助手 (50514410)
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Keywords | グラフ / 全域木 / 辺彩色 / 辺着色 / 異色全域木 / f-異色グラフ / graph / f-chromatic |
Research Abstract |
1996年にBrualdiとHollingsworthは「2n-1色で辺彩色された2n頂点完全グラフの辺集合はn個の異色全域木に分解することができる」と予想した。異色全域木とは全ての辺の色が具なる全域木のことである。本研究はこのBH予想の解決を目指しながら辺着色されたグラフに潜む様々な着色構造を明らかにすることを目的とする。2006年に研究代表者は完全グラフに限らない任意のグラフに異色全域木が1個以上存在するための必要十分条件を証明した。そして2008年、その証明法が実は異色全域木に限らずより一般的な着色全域木の存在についても有効であることに気づき、異色部分グラフの定義を一般化しf-異色部分グラフと名付け、f-異色全域木が存在するための必要十分条件を示した。f-異色グラフとはどの色cも高々f(c)本にしか現れないグラフと定義ずる。この一般化によって既存の異色部分グラフめ問題において、関数fの条件による段階的な研究ができるようになる。本年度は、まずf-異色全域木の必要十分条件の証明を"飽和条件"を用いたより簡潔なものに改良した。更に、この必要十分条件を利用して「2つの関数f,gが任意の色cについて$g(c)\lenf(c)/2$を満たすならば、g-異色完全グラフKnはf-異色全域木を持つ」ことを証明した。また、着色グラフ研究の派生研究として次の応用研究成果を得た。「赤青2色辺着色有向グラフにalternating covert channelが存在することと長さ3以下のalternating covert channelが存在することは同値である」covert channelとはネットワーク上でコピー&ペーストの繰り返しによって情報漏えいが起こる可能性のある有向道のことである。この成果を研究集会「離散数学とその応用研究集会2009」で発表した。
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