2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形方程式の解法による行列の対角化法に関する研究
Project/Area Number |
21740086
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
近藤 弘一 Doshisha University, 理工学部, 准教授 (30314397)
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Keywords | 応用数学 / 数理工学 / アルゴリズム / 線形数値計算 / 非線形解析 |
Research Abstract |
本研究課題では,固有値分解および特異値分解を非線形方程式の求解問題に置き換え,これをニュートン型反復法により解くことで,既存のアルゴリズムとは異なる新たな数値的特性をもったアルゴリズムを開発することが目的である.固有値分解および特異値分解の固有ベクトルおよび特異ベクトルはノルムの任意性をもつ.通常はノルムを1とする制約条件を加え,ベクトルを単位超球面上に制約する場合が多い.本課題では超平面上への制約を考える.ノルムの大きさは任意であるから超平面の法線ベクトルも任意に選ぶことができるため,これを制御パラメータとして利用する.この法線ベクトルを適切に選定することで,すべての固有ベクトルおよび特異ベクトルを求めるアルゴリズムを定式化した.定式化したアルゴリズムを超平面制約法と名付けた.超平面制約特異値分解法に関してはいくつかの収束定理の導出に成功した.ニュートン型反復で利用する非線形方程式のヤコビ行列の正則性に関する定理を導出した.またこのニュートン型反復の局所2次収束性に関する定理も導出した.さらには,超平面の法線ベクトルを既得の特異ベクトルで張る部分空間の直交補空間より選ぶことで,超平面制約特異値分解法が特異値分解を正しく計算できることを証明した.また,丸め誤差が印加するときの局所収束性に関する定理の一部を証明した.さらには,倍精度演算と多倍長演算を混合した計算アルゴリズムを考案し,その数値的特性を調べた結果,出力された特異値および特異ベクトルが倍精度の有効桁数すべてで正確に計算可能であることが分かった.
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Research Products
(16 results)