2011 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムに成長するネットワークに関わる確率論の展開
Project/Area Number |
21740087
|
Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
竹居 正登 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 講師 (60460789)
|
Keywords | パーコレーション / Isingモデル / セルオートマトン / フラクタル |
Research Abstract |
ランダムに成長するネットワークに関わる確率論の諸問題の研究を推進し,本年度下記の成果が得られた:(a)2次元Isingモデルの高温相におけるパーコレーション問題について,昨年度に引き続き樋口保成氏(神戸大学),Yu Zhang氏(コロラド大学)と共同で研究を行なった.本年度は外部磁場がパーコレーションの臨界値である場合に,5-armと呼ばれる事象の確率を調べ,そのオーダーを求めた.これはスケーリング極限を求める問題において重要な基礎となる結果である.この研究課題について得られている結果を,研究集会及びコロラド大学における教室談話会で口頭発表した.(b)1次元線形オートマトンrule 90に対する不変分布の研究を行なった.空間のシフトに関して不変かつ混合的な不変分布は本質的に2種類しか存在しないが,空間のシフトに対して不変だが混合的でない不変分布は無限個存在することが知られている.本年度は空間のシフトに対して不変で,エルゴード的だが混合的でない不変分布について研究した.線形オートマトンの生成するフラクタル図形に注目することにより,これまで知られていたものとは別な不変分布の族を構成した.この研究はまだ始まったばかりであり,今後の研究課題である. 上記課題の研究と並行し,確率論の立場から複雑ネットワークについて述べたRick Durrett著"Random Graph Dynamics"の邦訳を完成した(井手勇介氏(神奈川大学),今野紀雄氏(横浜国立大学)と共同).原著にあった無数の誤りを修正するとともに,難解な部分について補遺を追加して,読者への便宜をはかった.
|