2009 Fiscal Year Annual Research Report
代数的不変量に着目した閉曲面上のグラフの変形に関する研究
Project/Area Number |
21740088
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 有祐 Tsuruoka National College of Technology, 総合科学科, 准教授 (10390402)
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Keywords | グラフ / 閉曲面 / 局所変形 / モノドロミー / 三角形分割 / 偶三角形分割 |
Research Abstract |
一般の三角形分割の「対角変形」に関しては過去に十分な結果がなされているが,それらの正則性を保存するような変形に関しては,ほとんど研究が進んでいない.本研究においそは,偶三角形分割に対する「N-変形」を中心に,閉曲面上のグラフの局所変形に焦点をあて関連する研究を進めている.(具体的には,「頂点数の等しい(偶)三角形分割がそれらの変形により互いに移りあうかどうか」という問題を考察する.N-変形はグラフの頂点次数の偶奇性を保存するとともに,閉曲面のS_3-モノドロミーという代数的不変量も保存することがわかっている.)研究初年度にあたる21年度には,周辺の研究の情報を収集するとともに,以下のような局所変形に関する結果を得ることに成功している.3-染色的な偶三角形分割から一つの部集合を除いたものは閉曲の偶角形分割になるが,もとの偶三角形分割におけるN-変形は,得られた偶角形分割のdiagonal slideという操作に対応している(グラフの単純性を保存するという条件付きで).その特別な場合である球面の四角形分割に対して,2つの四角形分割がdiagonal slideによってりあうための回数が,頂点数に対して高々線形な式によって抑えられることを証明した.また,射影平面上のk-既約四角形分割に対して「Y-rotation」という新たな変形を導入し,任意の二つのk-既約四角形分割がY-rotationで互いに移りあうことも証明した.この結果は,1997年にJournal of graph theoryに発表されたRandbyの結果の拡張になっている.さらに、この結果を一般の閉曲面上の議論に拡張するべく,現在研究を継続している.
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