2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740092
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 英之 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (20431497)
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / 渦度方向 / 自己相似解 / 流体力学 / 特異点除去可能性 |
Research Abstract |
今年度は,非圧縮Navier-Stokes方程式の特異点近傍における解の挙動について研究を行った.以下詳しい内容及び背景,意義等について述べたい. 非圧縮Navier-Stokes方程式は非圧縮粘性流体の流速場と圧力場の関係を記述すると信じられている偏微分方程式であり,その(エネルギー有限な)解の時間大域的な滑らかさの問題は,1934年にJ.Lerayによって提案されて以来,多くの研究が行われているが,現在までのところ未解決である.この問題に対する一つのアプローチとして,ある点で解が特異にならないための十分条件を考察する特異点除去可能性の研究がある.1994年にP.ConstantinとC.Feffermanは渦度の方向が作るベクトル場が,ある点の近傍でLipshitz連続であれば,その点で解は特異にならないことを証明した.研究代表者は儀我美一氏(東京大学)と共同で,速度場の最大値の爆発のレートに対する制限(type Iとよばれる仮定)を課せば,前述の結果の渦度方向についての仮定を弱めることが出来て,一様連続で十分であることを示した.ここで,付加条件となるtype Iの仮定は,非圧縮Navier-Stokes方程式において発生し得る特異性の重要なクラスである自己相似解が満たすという意味で,自然な仮定と思われる.本結果の証明は,前述のConstantin-Feffermanの結果で導入された渦度方程式における渦度伸張項と渦度方向に対する特殊な関係を利用する方法と異なり,方程式のスケール不変性を利用したblow up解析及び,二次元渦度方程式に対するLiouville型定理を用いて行う.blow up解析による解の規格化により,解の特異点があったとすると,(渦度に対する仮定の下で)それは本質的には二次元的な構造を持つことを示すのが証明における重要なポイントである.
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Research Products
(2 results)