2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 正訓 Kyoto University, 情報学研究科, 准教授 (40303888)
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Keywords | 確率解析 / Dirichlet形式 / 拡散過程 / マルチンゲール次元 / フラクタル / 自己相似集合 / ラフパス理論 / 新古典不等式 |
Research Abstract |
当該年度では以下の研究成果を挙げた. 1. Sierpinski Carpet上のブラウン運動に関するマルチンゲール次元がスペクトル次元以下であることを示した.特に点再帰的なケースではマルチンゲール次元は1であることが証明された.これは無限分岐的なフラクタルに関するマルチンゲール次元について初めて得られた情報である.また,この証明方法は有限分岐的なフラクタルに対しても適用でき,従来の結果において必要だった技術的な仮定をなくすこともできた.証明はかなり長く,もう少し簡略化される可能性があることと,証明で用いた新しいテクニックがそれ自体他の応用を持ち得ること,マルチンゲール次元の下からの評価は得られていないことなどから,次年度も引き続きこの問題の研究を進める予定である. 2. 新古典不等式は2項定理の一種の一般化であり,ラフパス理論のある基本定理を示すためにT.J.Lyonsの1998年の論文で導入された.そこでの証明はやや高級な一般論を用いるもので,また数値計算の結果から,より精密な不等式の成立が予想されていた.原啓介氏との共同研究で,平易な議論により「剰余項付き分数幕2項定理」を証明し,その系としてLyonsの予想が真であり,更に得られた不等式に現れる係数が最良であることを示した.フラクタル上の解析にラフパス理論は有望と考えられるため,その研究への応用が今後期待される.この結果についての論文執筆を行い,既に掲載が決定済である. 3. 前年度までに得た結果については,投稿論文(2本)を若干修正したのち掲載に至った.
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Research Products
(6 results)