2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40303888)
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Keywords | 確率解析 / Dirichlet形式 / 拡散過程 / Wiener空間 / Sobolev空間 / フラクタル / 微分構造 / 各点指数 |
Research Abstract |
当該年度では以下の研究成果を挙げた. (1)抽象ウィナー空間の可測部分集合がH-openかつH-convexであるとき,その上の(ノイマン型の)(1,2)-型ソボレフ空間が,有限次元的な滑らかな関数からなる関数族を稠密に含むことを証明した.これは自然に定義される2種類のソボレフ空間が一致することを意味しており,研究代表者による従前の結果を改良したものである.この種の空間の一致を示すことは無限次元空間の部分集合上の反射壁拡散過程の研究においては基本的な問題であるが,類似の結果は他に知られておらず,この方向の研究が更に進展するものと期待される.また,証明に用いた命題からの副産物として,H-openな可測集合は(1,p)-容量(但し1<p<∞)に関する準開集合であることもわかった.シンプルな性質であるが,既知ではなかったようであり,他の問題への応用も望まれる.これらの結果については既に論文を執筆し,現在論文誌に投稿中である. (2)研究代表者の以前の研究で,一般の強局所正則Dirichlet形式について各点指数という概念が定義され,指数はDirichlet形式に付随する拡散過程のマルチンゲール次元に一致することが示されていた.今年度,各点において各点指数を次元として持つ,一種の接空間の基底をなす関数族(座標系)が常に存在し,Dirichlet形式の定義域に属する任意の関数について,その座標系に関する1階のTaylorの公式が成立することを証明した.これはフラクタルのような微分構造を持たない空間においても,適切な関数空間には微分構造が導入されることを示しており,フラクタルの研究において微分幾何学的なアプローチの可能性を示唆するものである.まだ幾つか解決すべき問題が残っているため,来年度に亘って引き続き研究を行う予定である.
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Research Products
(5 results)