2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40303888)
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Keywords | 確率解析 / Dirichlet形式 / 拡散過程 / Riemann構造 / 各点指数 / フラクタル / 内在的距離 / 測地距離 |
Research Abstract |
当該年度では以下の研究成果を挙げた. (1)研究代表者の従前の研究において,一般の強局所正則ディリクレ形式に対して(各点)指数という概念を定義し,各点指数が疑似的な接空間の次元に等しいこと,および指数がマルチンゲール次元に等しいことを示していた.今年度,この概念の確率解析への応用として,エネルギー有限のマルチンゲール加法汎関数全体からなる空間の構造が上述の幾何的構造を用いて簡潔に記述されることを示した.このことは指数という解析的な量が幾何構造・確率的構造とも結びつく量であることの表れであり,ディリクレ形式に付随する拡散過程の局所構造を研究する際に有用な概念であることを示唆するものである.これらの結果について論文を執筆し,現在査読誌に投稿中である. (2)自己相似フラクタル上の自己相似ディリクレ形式に関して自然に定義される内在的距離が測地距離に等しいかという問題を研究した.これは解析的に定義された距離と幾何学的な距離が等しいかどうかという基本問題で,多様体のような滑らかな空間においては充分に研究されているが,フラクタルのような特異な構造を持つ空間については滑らかな場合の議論が通用せず,事情がわかっていなかった.今回,かなり広い範疇において,内在的距離は測地距離以上であることを示した.また,逆向きの不等式を,あるクラスのフラクタルに関して証明した.まだ十分にの般化された結果とは言えないため,来年度に亘って引き続き研究を行う予定である.
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Research Products
(4 results)