2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740098
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小池 達也 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80324599)
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Keywords | 完全WKB解析 / ボレル総和法 / リッカチ方程式 / パンルベ方程式 |
Research Abstract |
(退化)Garnier系は有理関数を係数に持つ二階の線形常微分方程式のモノドロミー保存変形として与えられるが,今年度は有理関数を係数とする大きいパラメータを含む二階線形常微分方程式のWKB解のBorel総和可能性を調べた.WKB解は正規化する基点の選び方に依存し,そのためBorel総和可能性もその基点の選び方に依存することになる.この正規化の問題を上手く扱うために,WKB解の対数微分(これはRiccati方程式を満す)のBorel総和可能性を最初に調べた.続いて,対数微分の積分のBorel総和可能性を調べ,それを用いてWKB解のBorel総和可能性を調べるという手順を取った. 結果として,係数が多項式の場合はWKB解は(WKB解を定める積分路がStokes曲線を横切らない限り)Borel総和可能であることがわかった.また有理函数の場合も,かなり一般的な状況でWKB解がBorel総和可能となることがわかるなど,十分に満足の行く結果が得られた. 本年度の研究ではRiccati方程式の形式解を調べた為,この結果は他の問題にも応用できる.例えば,二つの変わり点の合流における標準形への変換論の問題においても不変量の総和可能性の証明といった応用を見い出すことができる.あるいは,同様の手法で第一パンルペ方程式のゼロ・パラメータ解がBorel総和可能であることを示すこともできる. これらの結果を報告する論文を現在作成中である.
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Research Products
(3 results)