2011 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れをもつ方程式の解の漸近的性質とスペクトル解析
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21740103
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松永 秀章 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40332960)
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Keywords | 時間遅れ / 微分方程式 / 差分方程式 / 漸近安定性 / 特性根 / Volterra差分方程式 / 相空間の直和分解 / 射影作用素 |
Research Abstract |
本研究では時間遅れをもつ方程式の解の漸近的性質とスペクトル解析に関する研究を行うことを目的としている。具体的な研究テーマは次の3つに分けられる: (1)特定の項にのみ時間遅れをもつ線形微分積分方程式および線形差分方程式の零解の漸近安定性 (2)時間遅れをもつ線形微分方程式および線形差分方程式の解の振動性 (3)無限の時間遅れをもつ関数微分方程式および関数差分方程式の解の漸近挙動 本年度の研究成果は以下の通りである: (1)非対角成分の項に連続的な時間遅れをもつ2次元線形積分微分方程式の零解が漸近安定であるための具体的な必要十分条件を与えた(印刷中)。なお、離散的な時間遅れと連続的な時間遅れを統一して表現した、スチルチェス積分型の線形微分方程式への拡張は今後の課題である。 (2)時間遅れをもつ2次元線形微分方程式および2次元線形差分方程式のすべての非自明解が振動するための具体的な必要十分条件を導出し、1次元方程式に対する従来の研究をそれぞれ一般化した(投稿準備中)。 (3)岡山理科大学の村上悟教授との共同研究により、無限の時間遅れをもつ線形Volterra差分方程式に対してformal adjoint theoryを展開することで、相空間における中心-不安定部分空間上での具体的な射影表現を確立し、解の漸近公式を導出した。これは無限の時間遅れをもつ非線形差分方程式の解の分岐理論を構築するための基礎となる研究成果といえる。
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