2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740109
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Research Institution | 防衛大学校 |
Principal Investigator |
土田 兼治 防衛大学校, 総合教育学群, 講師 (80466523)
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Keywords | 大偏差原理 / 加法的汎関数 / ジャンプ過程 / ディリクレ形式 |
Research Abstract |
本年度は、加法的汎関数の大偏差原理が成り立つための十分条件であるスペクトル関数の微分可能性についてさらに詳しく研究した。そしてスペクトル関数の微分可能性が成り立つためのある十分条件をまとめた論文が出版された。またジャンプを持つ加法的汎関数の大偏差原理についての論文も出版された。 さて、スペクトル関数の微分可能性のアプローチから加法的汎関数の大偏差原理を証明しようとすると、元の対称マルコフ過程の状態空間の次元が低くなってしまうという問題が起こるが、これに対しては現在University of WashingtonのZ.Q.Chen教授と研究を進めている。この研究は連続な加法的汎関数と不連続な加法的汎関数の直積を考えた2次元の確率過程に対する大偏差原理を証明することが目標である。 スペクトル関数の微分可能性を示すことも解析学的には興味深い内容であるが、元となるマルコフ過程のグリーン関数が分からないとき、難しい問題が起こるが、それは前年度以前に解決し、それを応用して長岡工業高専の田原喜宏助教との共同研究により、概安定過程に対するスペクトル関数の微分可能性を証明し、それに対応する加法的汎関数の大偏差原理を得ることができた。これにより、ブラウン運動の従属操作から得られる様々な対称マルコフ過程に対して、それに対応する加法的汎関数の大偏差原理が証明できたことになる。 また、状態空間がユークリッド空間ではないようなマルコフ過程に対する加法的汎関数の大偏差原理の証明はできていないが、必要となる条件をいくつか見つけることができた。
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Research Products
(3 results)