2011 Fiscal Year Annual Research Report
種々の幾何学的発展方程式により記述される曲線および曲面のダイナミクス
Project/Area Number |
21740110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡部 真也 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70435973)
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Keywords | 函数方程式論 / 変分法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,適当な幾何学的汎函数に対する勾配流として定義される種々の幾何学的発展方程式に支配される曲線および曲面のダイナミクスを解明することである.より具体的には,本年度は主に次の主題に関して研究を行った: 【主題B】Shortening-Straightening flow(S-S流)に支配される無限の長さをもつ曲線のダイナミクス本年度は,無限の長さをもつ閉でない滑らかな初期曲線に対する初期値問題((SS))と有限の長さをもつ滑らかな初期曲線に対する適当な端点固定条件を課した初期値境界値問題((CSS))について研究を行った.主な研究の成果は次のようである: 1. 初期曲線が線分からの摂動で定義されるグラフとして与えられるとき,(CSS)の解のダイナミクスを決定した. 2. (SS)の解である平面曲線は任意有限時間において無限遠方で共通の直線に漸近することを示した. 3. (SS)において,曲線の回転数は時間に関して不変であることを証明した. 4. (SS)の解は時間無限大とするとき,ある定常解に滑らかに収束することを明らかにした. 成果(4)では適当な平行移動を施すことによって定常解へ収束することを示している.問題(SS)における汎関数は非有界であるため,変分問題として定式化することはできない.従って,問題(SS)における定常解の存在を示した(4)は意義がある.さらに成果(3)により,もし初期曲線がただ一つのループ部分を有するならば,(SS)の解もただ一つのループ部分を有することが従う.これらの事実は定常解の分類や解のダイナミクスを理解する上で重要な手がかりとなり得ると考える.
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