2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
坂本 玲峰 Tokyo University of Science, 理学部・物理学科, 助教 (30528055)
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Keywords | 結晶基底 / Macdonald多項式 / 超離散可積分系 / rigged configuration |
Research Abstract |
今年度は主にアフィン量子群の有限次元表現に対する結晶基底(Kirillov-Reshetikhinクリスタル)およびそのMacdonald多項式への応用について研究、報告を行った。Macdonald多項式の数学的構造を探ることは今後の数学における重要なテーマと考えられる。近年Haglund-Haiman-Loehr(HHL, 2004)により組み合わせ論的明示公式が得られたが、その表式はきわめて複雑なものであり、HHL公式の数学的背景に関してはほとんど解明されていない状況であった。そのような状況を打開するため、本研究では表現論からのアプローチを開拓することを目指し、結晶基底を用いた解析を行った。得られた結果のうち主なものは以下のとおりである。(1) HHLの公式を表現論的解析に適するように簡約化した。より詳しく述べると元来のHHL公式はヤング図へ任意の整数を埋め込んだもの全体に対する和として記述されていたが、モノミアル対称式に対する展開の形に整理するとウェイトがヤング図で表される項のみに対する和として表示されることが分かった。(2) HHLの公式を最高ウェイト元に制限したものと二変数Kostka多項式との整合性条件を考察した。結果としてHHL公式は二変数Kostka多項式と整合性のない場合があることが判明し、更に整合性が得られるための正確な条件を予想した。(3) 超離散可積分系のタウ関数の考え方を用いるとHHL公式の2つの構成要素(それぞれmajとinvと呼ばれる組み合わせ論的統計量)のうちの1つmajの1パラメータ拡張が得られること、特にmajが本質的には結晶基底のエネルギー関数として自然に理解できることを提案した。
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