2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
坂本 玲峰 東京理科大学, 理学部, 助教 (30528055)
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Keywords | アフィン量子群 / 艤装配位 / 結晶基底 / 超離散可積分系 |
Research Abstract |
アフィン量子群の有限次元表現は非常に深い構造を持つことで知られ現代数学の重要な研究テーマとなっている。本研究課題では特にキリロフ=レシェティヒン加群に付随する結晶基底、すなわちKRクリスタルの研究を、超離散可積分系の観点から、より具体的には艤装配位と呼ばれる対象を用いて研究することを目的としている。本年度は特に一般の非例外型アフィン量子群の場合で、代数の階数が高い場合を考察した。その時各代数に対する最高ウェイト艤装配位とA型の最高ウェイト艤装配位およびリトルウッド=リチャードソン盤の積集合との間の明示的な全単射を構成することに成功した。アルゴリズムは非自明なものであり、一般論から存在を予測できるものではないが、しかしながら艤装配位の理論では繰り返し現れるモチーフに基づく自然な構成であることが興味深い。応用として同時期にルクベー=尾角=シモゾノによって証明されていた恒等式と合わせることによっていわゆるX=M予想を部分的に解決することができた。 艤装配位の理論の発展においては一般的な場合の艤装配位理論の構成が欠かせないものと考えられる。A型の場合にはすでにキリロフ=シリング=シモゾノによって構成が完了しているが、通常KRクリスタルの性質が顕著に表れるのはA型以外の代数の場合であることが多く、一般の場合を理解するための典型的なひな形としてD型の場合の艤装配位の理論の研究を開始した。既にD型アフィン結晶構造との興味深い関連など徐々に深い性質が明らかにされつつあり、今後も研究を継続することが望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では超離散可積分系から抽象化されて得られた概念である艤装配位の理論を用いてアフィン量子群の結晶基底を考察することを目的としている。現在までに艤装配位に関する全く新しい性質の発見や理論完成のための土台となる基礎的部分の考察が着実に進んでいるものと考えている。従って本研究課題の実施状況は適切なものであり、概ね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開を考える上ではまず艤装配位写像の基礎理論を完成させることが最重要の課題となる。現在までに得られた基礎的観察に基づき以下の問題を解決することを目標とする。まず艤装配位写像のアルゴリズムと代数構造(柏原作用素)との可換性を証明したいと考えている。さらにその代数構造を利用して一般の場合の艤装配位写像がwell-definedになっていることを証明することを目標とし、それに向けた基礎的考察を積み重ねていきたいと考えている。
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