2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740117
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
楯 辰哉 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (00317299)
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Keywords | 幾何学的漸近解析 / 格子凸多面体 / Euler-Maclaurin公式 / トーリック多様体 / エータ関数 / 離散幾何解析学 |
Research Abstract |
前年度にDelzant格子凸多面体と呼ばれる、滑らかなトーリック多様体に対応する凸多面体に対する漸近的Euler-Maclaurin公式を証明した。しかしDelzant格子凸多面体は制限が強く、一般の格子凸多面体への拡張は重要な問題であったが、本年度は、これを任意の有理凸多角錐体に対するある種の分解定理を用いて解決した。また、漸近展開の各項の表示にはBerline-Vergneの導入した微分作用素が現れるが、その表示方法の一意性も証明することが出来た。既存にある漸近的Euler-Maclaurin公式の中でも、本年度得られた公式はもっとも効果的な公式の一つと思われる。これらの結果は国内外の研究集会などで発表し、学術雑誌への掲載が決まっている。また、格子凸多面体上のEuler-Maclaurin公式は対応するトーリック多様体上の調和解析に応用がある。特にGuillemin-Wangによるテープリッツ型作用素のスペクトル測度の漸近展開には直接応用されるが、本年度は、そのスペクトル測度を記述するWangによるtwisted Mellin変換の漸近展開の別証明も得ることが出来た。この別証明については、今後関連する結果が出次第、論文として公表したい。 本年度は、さらに宮崎直哉氏(慶應大学)、本間泰史氏(早稲田大学)とディラック作用素のエータ関数の解析に対するEuler-Maclaurin公式の応用について議論し、また砂田利一氏(明治大学)、小谷元子氏(東北大学)と離散幾何解析学との接点について議論した。これらの議論において、いくつかの興味深い問題を見出すことが出来たが、これらについては次年度に精力的に研究を行いたい。
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Research Products
(4 results)