2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 芳子 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (80507955)
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Keywords | 量子系 / 非平衡統計力学 / 作用素環論 / Evans-Searles |
Research Abstract |
本研究における、ひとつのゴールは非平衡系に表れるある対称性をみたす関数の仮説検定の立場から物理的意味づけを行うことであった。この関数はrelative modular operatorという、作用素環のTomita-Takesaki理論で表れる作用素によって表される。古典系ではこの関数は、エントロピー生成と呼ばれる量の時間平均のmoment generating関数となる。エントロピー生成は非平衡性、時間反転対称性の破れを表す量である。古典系でこの関数の満たす対称性はEvans-Searles fluctuation theoremという良く知られた性質である。今年度は仮説検定の立場から、量子系でもこの関数は時間反転対称性の破れを表すものとして見ることが出来ることを示した。この証明をするのに、行列について知られているある不等式の、一般のvon Neumann環への拡張が必要であった。これを論文にまとめた。(プレプリントarXiv:1011.1340 A generalization of the inequality of Audenaert et al)仮説検定の結果はJaksic Pillet, Seiringer氏らとの共著論文である。
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Research Products
(1 results)