2009 Fiscal Year Annual Research Report
複素Henon写像族のパラメータ空間の力学系的研究
Project/Area Number |
21740125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石井 豊 Kyushu University, 数理学研究院, 准教授 (20304727)
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Keywords | iterated monodromy group / Hubbard Tree |
Research Abstract |
今年度の研究成果としては、拡大的な一変数多項式の摂動としては得られない例を含むあるクラスの双曲的な複素Henon写像に対してiterated monodromy groupと呼ぶに相応しい対象が定義できたことが挙げられる。今までのiterated monodromy groupの定義は、被覆写像の場合にのみなされ、その力学系が拡大的なときはiterated monodromy groupの情報から元の力学系の情報を復元できることが知られていた。一方で、複素Henon写像は微分同相写像であって決して被覆写像にはなりえず、また、良くてもそれは双曲的である(拡大的にはならない)ため、このような一般論は適用出来ない。そこで私は、上で述べたクラスの双曲的複素Henon写像に対して構成されたHubbard treeを出発てして、そのiterated monodromy groupを定義する、という戦略を考えた。このとき、Hubbard treeの各連結成分ごとに(正則木とは限らない)マルコフ的な分岐をする逆像木が定まり、これらをあるルールで張り合わせて得られる空間(これを正則森と呼ぶことにする)にHubbard treeの各連結成分の基本群が亜群として作用する、という定式化が得られる。さらに、このiterated monodromy groupから定まる漸近同値という概念で記号空間を割ったものは元のJulia集合と一致する、という事実の証明に成功した。
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