2009 Fiscal Year Annual Research Report
作用素環で記述される量子系,特に超対称性系の数理物理
Project/Area Number |
21740128
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
守屋 創 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (20399794)
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Keywords | 超対称性 / C*代数 / 数理物理 |
Research Abstract |
本年度は超対称性をC*代数の枠組みで研究した.C*代数において超対称性タイナミクスを与える基本要素は超対称性微分である.これは超対称性の破れに関わらず定義でき,ヒルベルト空間から始まる定式より優れている. 超対称性微分の定義域に関して注意が必要であることが岸本らによって指摘されている.T例えば安直に,時間発展と超対称性変換の生成子を与える微分および超対称性微分の定義域が全く同じ.あるいは前者が後者に含まれるとすると必ず有界になる. しかしながら,本来フェルミオン-ボゾン代数上での超対称性微分は非有界写像である.なぜならフェルミオンをボゾンに写像するが,ボゾンは非有界であるからである.これについてはブッホルツとグルンディングの最近の研究がある. 上で指摘した定義域に関する二つの問題は別物であるのに,あたかも一つのNo-go定理であるかのような解説がmath reviewなどにある.これは誤謬であるというのが我々の主張である. (ボゾンの無い)格子フェルミオン系で超対称性微分の諸性質を調べ.困難さの由来を峻別した.これを九州大学に2009年11月の研究集会「数学的場の量子論とくりこみ理論」で発表した. 一方で,フェルミオン-ボゾン代数の超対称性微分について,定義域に関する諸条件を明らかにし,公理的に超対称性ダイナミクス条件を書き下した. 2010年3月にウィーンに出張し,当地に滞在していたブッホルツ教授と研究打ち合わせを行った.我々が導入したGNS表現を由来したダイナミクス条件がブッホルツ-グルンディグングの一次元自由量子場超対称性模型の定義域条件と矛盾せず,素直な一般化になっていることが分かった.
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