2011 Fiscal Year Annual Research Report
作用素環で記述される量子系,特に超対称性系の数理物理
Project/Area Number |
21740128
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
守屋 創 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20399794)
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Keywords | C*力学系 / graded derivation |
Research Abstract |
超対称性微分子(superderivati0n)を出発点とし,超対称性構造を持つ時間発展をC*力学系として定式化した.昨年度までは(I)格子系-時間発展群は強連続(II)連続系-時間発展群は弱連続の二つの場合に分けて,超対称性微分子の適切な定義域の選択,超対称状態のサイクリック表現で実現される超対称作用素の関数解析的な性質を明らかにしてきた. 本年度は(I)の場合を具体的なモデルとの関連から研究した.オランダのグループによって隠れた超対称性を持つ格子フェルミオン模型が提案されこれまで主として物性物理学の観点から研究されてきた.本研究では数学的で厳密な取り扱いを目指し,フェルミオングレーディングで捻じれた微分子を局所部分代数上で定義し,隠れた超対称性構造を持つ格子フェルミオン有限距離模型の一般的な枠組みを与えた.無限に広がる格子フェルミオン系における超対称性不変状態を定義し,その基本的な性質を表現空間を通して厳密に議論することが可能となった. 無限に広がる系での超対称性状態の具体例として,自明な並進不変な状態があり,これまで議論に利用してきた.しかしオランダのグループの物理的な解釈からすれば有効理論の外にある非物理的な状態である.関連する超対称性状態の個数を下から評価する組み合わせ的な手法について上記のオランダのグループの一人と議論をする中で,注目する状態空間を超対称性作用で不変な部分空間に制限するのが本質的であり,全空間ではこの手法は有効でなくなることが明確になった. そこで非自明な超対称性状態を探索し,並進対称性を破る超対称基底状態の存在および,その縮退の様子から,時間発展群自体に隠れた超対称性から由来する特徴的な性質が備わっていることを明らかにした.
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