2010 Fiscal Year Annual Research Report
モスアイ効果を利用した中間赤外線天文観測用シリコンレンズの開発
Project/Area Number |
21740131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒向 重行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90533563)
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Keywords | 赤外線天文学 / 中間赤外線 / 反射防止 / モスアイ / シリコン / RIE / レンズ / TAO |
Research Abstract |
東京大学アタカマ望遠鏡(TAO)や次世代赤外線天文衛星SPICAなど高地や宇宙空間からの高感度の赤外線観測を行う計画では、長波長中間赤外線(λ=25-40μm)に高い効率を持つレンズが必要とされている。本研究の目的はシリコンをサブストレートとし、その表面にモスアイ反射防止体を形成することで高効率のレンズを実現することである。モスアイ反射防止体とは従来の多層膜干渉法を用いず、物質表面に波長スケールのピッチで錐構造を形成し、境界の屈折率差を連続的に接続することで反射を防止する手法である。この方法は反射防止膜に用いる透過材料が乏しい波長帯で有効である。平成22年度はΦ40mmのシリコン平板の全面に一様なモスアイ構造を形成することに成功した。これにより、入射電磁波の波面を乱さない反射防止面を、実用的な面積に加工する手法が確立された。また、シリコン平板の両面へのモスアイ加工にも成功した。これは加工済みのモスアイ面を保護しながら裏面を加工する手法を開発したことで実現された。更に、平凸シリコンレンズの曲面上へのモスアイ加工にも成功した。これは電子ビームによる曲面上へのマスクパタンの描画手法の確立が鍵となり実現に至った。このようにして製造したモスアイシリコンレンズの性能評価を行った。結果、モスアイ加工前と同じ結像性能を維持しながら、より高い透過率を有することが確かめられた。これまでに得た技術を応用することで、両面にモスアイ加工をした反射損失が実質ゼロのシリコンレンズの実現が可能である。
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