2009 Fiscal Year Annual Research Report
星形成領域の物理・化学的多様性とその惑星系円盤への伝播の解明
Project/Area Number |
21740132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂井 南美 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (70533553)
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Keywords | 電波天文学 / 星・惑星系形成 / 星間物質 |
Research Abstract |
本研究の具体的計画は、i)星形成領域における化学的多様性の確認とその起源の解明、および、ii)原始星円盤から原始惑星系円盤への化学的多様性の伝播の検証、の2つに分けられる。i)ではまず、より多くの代表的星形成領域で炭素鎖分子輝線などを用いて化学組成を比較し、多様性の確認を行う。一方で、WCCC天体であるL1527とおおかみ座のIRAS15398-3359において、その周囲の環境の共通点を探り、他の領域との比較から多様性の起源に迫る。ii)ではまず、これまでに発見したWCCC天体に対して、干渉計を用いて数100AUスケールの高分解能観測を行い、原始星のどこまで近傍に炭素鎖分子が存在するのかを明らかにする。次に、より進化の進んだClassI、IIの原始星の化学組成を高感度サーベイ観測により調べる。これらにより、WCCC現象が原始星進化に伴ってどのように伝播されるかを明らかにする。本年度は、i)についてIRAS15398-3359の周囲を炭素鎖分子でサーベイ観測したところ、L1527の近傍にある炭素鎖分子が豊富な星なしコアTMC-1と同様のコアを発見した。WCCCがおこる原因として、星なしコア時代が短かったことが考えられたが、2つのWCCC天体のすぐ近くで、化学的に若い非常に類似したコアが発見されたことはこの考えを支持する。双方の雲全体の進化過程に共通点が見出されたといえる。この新たなコアは、その炭素鎖分子のスペクトル線の強さから、今後南天のTMC-1とも言うべき存在として、注目されるだろう。また、ii)については、L1527においてPdBI干渉計を用いて高分解能観測を行った。その結果、原始星から500-1000 AUはなれた、温度が25K程度の領域で炭素鎖分子のスペクトル線強度が非常に強くなっている現象を発見した。これは、CH4が星間塵から蒸発して新たに炭素鎖分子が生成されるというWCCCのメカニズムと一致し、詳細分布からWCCC現象を明らかにできたといえる。
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Research Products
(6 results)