2010 Fiscal Year Annual Research Report
銀河・銀河団の多波長データに基づいた遠方宇宙の探究
Project/Area Number |
21740139
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
北山 哲 東邦大学, 理学部, 准教授 (00339201)
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Keywords | 宇宙論 / 銀河団 / 銀河 / X線 / 赤外線 / ミリ波 |
Research Abstract |
平成22年度は、既存のX線観測衛星に搭載された望遠鏡および検出器のキャリブレーション誤差が宇宙論パラメータの決定に及ぼす影響についてこれまで進めてきた研究成果を査読つき論文として発表した。この研究では、米国のX線観測衛星チャンドラによって得られたエネルギースペクトルを用いて測定されたプラズマ電子温度の値に対しては約10%、それをもとにしたハッブル定数の測定値に対しては約15%の系統誤差が内在することが明らかになった。同様の系統誤差の影響は、銀河団質量関数やそれを用いた宇宙の平均物質密度・密度ゆらぎパワースペクトルの測定結果を含む広範囲に及ぶと考えられる。また、米国の赤外線観測衛星スピッツァー宇宙望遠鏡を用いた楕円銀河NGC4589における多環芳香族炭化水素の空間分布に関する研究成果も査読つき論文として発表した。この研究では、複数の輝線の空間的な強度分布を比較することで、楕円銀河NGC4589内に少なくとも二つの異なる起源をもつ多環芳香族炭化水素が存在すること、およびそのうちの一方は銀河中の星とは大きく異なる分布をしており、この銀河が経てきた衝突活動の影響を強く反映している可能性が高いことなどが明らかになった。さらに、日本が進めている次世代X線観測衛星ASTRO-H、大型ミリ波・サブミリ波干渉計ALMA等を用いた将来の銀河団観測に対しても、詳細な数値シミュレーションを用いた観測可能性の定量的な評価とそれに基づく観測戦略の具体的な検討を進めた。
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Research Products
(5 results)