2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙望遠鏡の赤外データを用いた、可視域では見えない赤外線星の研究
Project/Area Number |
21740142
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
板 由房 National Astronomical Observatory of Japan, 国際連携室, 研究員 (30392814)
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Keywords | あかり衛星 / 大マゼラン雲 / 小マゼラン雲 / 赤外線星 / 質量放出 / 近赤外 / 中間赤外 / データベース |
Research Abstract |
「あかり」衛星を用いて、地上からでは観測出来ない中間赤外域で大小マゼラン雲の広い領域を撮像及び分光観測した。宇宙からの貴重な中間赤外データは、星が進化する過程でどのような物質をどれだけ放出するかを調べる上で重要なデータである。本年度はこの観測データのうち、小マゼラン雲の撮像データを解析して点源カタログを作成し、論文の発表と同時にカタログを公開した。この点源カタログは本研究のみの利用にとどまらず、広い分野の様々な研究者に使用される。大マゼラン雲の観測データも解析を行い、同様に点源カタログの作成を行った。このカタログも現在準備中の論文発表と同時に公開する。更に「あかり」衛星の中間赤外全天サーベイカタログを用いて、銀河系内にある赤外線星の赤外域での特徴を調べ、論文にまとめて発表した。このため、我々の銀河中に存在する赤外線星とマゼラン雲中の赤外線星を比較する事で、星の進化や質量放出における環境効果を調べる事が可能となった。 また、南アフリカ天文台の赤外線観測装置を用いて2000年12月より現在まで観測を続けてきた星の明るさの時間変動を調べた観測の膨大なデータをデータベース化した。このデータベースは、9年間という長期間にわたって星の明るさを赤外域でモニターした、世界に類の無いユニークな観測データである。本研究の主題である可視域では見えない赤外線星の他にも、様々な変光天体が検出されているため、国内外の広い分野の研究者からこのデータを使用した共同研究の申し込みが多い。そのため、このデータをインターネットを通じて天文コミュニティーに公開できるよう、Webグラフィカルユーザーインターフェースの設計と作成を行った。現在準備中の論文の発表と同時に公開する。
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