2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙望遠鏡の赤外データを用いた、可視域では見えない赤外線星の研究
Project/Area Number |
21740142
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板 由房 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30392814)
|
Keywords | あかり衛星 / 大マゼラン雲 / 小マゼラン雲 / 赤外線星 / 質量放出 / 近赤外 / 中間赤外 / データベース |
Research Abstract |
日本の赤外線観測衛星「あかり」及び、NASAが打ち上げたSpitzer宇宙望遠鏡を用いて、大小マゼラン雲がサーベイ観測された。そのデータを用いて赤外線星を発見し、その脈動と質量放出の関係を調べた結果、脈動周期や脈動の規模を表す振幅と、質量放出の間には相関があまり無い事がわかった。次に、質量放出の規模の指標である星周減光の強さと、天体の近赤外の色との関係を調べたところ、強い相関が見られたので定式化した。今後、導出した式を使う事によって、近赤外の色から星周減光の強さを見積もることができる。これらの結果は、国立天文台主導のVERA計画によるミラ型星の周期光度関係校正にも大きな影響を与える。また、質量放出される物質が星の進化と共に変化するのか?変化するとすれば、どう変化していくのか?は謎であったが、多波長で星周減光の様子を調べる事によって、星が進化すると共に、放出されるダストの性質(種類、大きさ等)が変化していく事が初めてわかった。これらの発見を論文としてまとめ、発表した。STScIのマーガレットマイクスナー教授が主導し、Spitzer衛星のウオームミッションで、大小マゼラン雲中に存在する大規模に質量放出する星の脈動をモニターする観測チームが立ち上がった。私もメンバーであるこのチームによって、観測及びデータ解析が現在進行中である。来年度以降も観測を継続するために、彼女や他のチームメンバーと共に観測提案の立案に携わった。
|
Research Products
(5 results)