2010 Fiscal Year Annual Research Report
すばる望遠鏡データアーカイブと連携した大規模データ解析システムの開発
Project/Area Number |
21740143
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
白崎 裕治 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (70322667)
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Keywords | 天文学 / データベース / 分散処理 / バーチャル天文台 / AGN / ブラックホール / 解析システム |
Research Abstract |
本年度はすばる望遠鏡搭載、MOIRCS赤外線観測装置の撮像データの自動リダクションシステムの開発をおこなった。昨年度までに完成させたSuprime-Cam可視光観測装置用の自動リダクションシステムと合わせて、可視光から赤外線にわたる、すばる望遠鏡の大量のアーカイブデータを利用した研究を行うための基盤システムが完成した。本システムは国立天文台天文データセンターが運用しているバーチャル天文台ポータルサイトから利用でき、天文学研究を目的として誰もが容易に利用可能である。このシステムを利用することにより、これまでは実現が不可能であった、大量かつ高品質なすばる望遠鏡のデータに基づく新たな研究が可能になる。 また、本システムを利用してリダクションされた、すばる望遠鏡Suprime-Cam観測装置のデータを利用し、活動銀河中心核(AGN)天体周辺の銀河数密度の測定を行うことにより、遠方のAGN程周辺の銀河数密度が高い環境にあることを解明した。本研究は、開発中の解析システムを用いて大量に処理された撮像データから抽出された、1,000個以上にものばる遠方AGNサンプルより得られた結果である。従来の高赤方偏移(z>0.8)観測結果にくらべて一桁以上高い統計量にもとづくものであり、世界最高感度によりAGNの周辺環境を明らかにすることに成功した。この結果は、超巨大ブラックホールの形成メカニズムとして従来考えられてきた理論モデルのうち、銀河同士の合体により成長してきたとするモデルを支持する結果である。
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Research Products
(10 results)