2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 剛 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (20469604)
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Keywords | 電波天文学 / 分子雲 / 星形成 / 可視撮像 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大質量星形成初期段階にある天体の化学組成に関するデータベースを構築し、それをもとに大質量星の形成過程を理解することである。この観測の効率化のため、野辺山45m望遠鏡に搭載された2SB受信機の広帯域化を行う。本年度は、受信機の広帯域化のためのコンポーネントを全てそろえ、実験設備の整備も行った。しかし、野辺山45m望遠鏡でのIF系や分光計開発が十分に進んでいないこともあり、広帯域化した受信機を実際に望遠鏡に搭載するにはいたらなかった。そのため、本年度は、従来の受信機を用いてサーベイ観測を行っている。サーベイ観測の結果、中間赤外暗黒雲に付随する大質量クランプでは、赤外線源を持つ大質量クランプに比べ、メタノールやC^<34>Sの線幅が大きいことがわかった。この結果は、大質量星形成初期には分子流と周囲の分子雲との相互作用が重要な役割を果たしていることを示唆している。さらに、DNC/HNC比に着目してみると、大質量星形成領域では、重水素濃縮度が小質量星形成領域に比べ明らかに低いことがわかった。この結果は、大質量星形成領域と小質量星形成領域の温度環境の違いを反映していると考えられる。本年度の結果から、様々な分子の線幅、存在量を調べることが、天体の進化段階を知る上で非常に有効であるということを立証できた。来年度は、広帯域受信機を用い、より多くの天体に対して観測を行うことで、大規模なデータベースを構築すると伴に、干渉計などを用いた高分解能観測も実施していく。
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Research Products
(3 results)