2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21740144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 剛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (20469604)
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Keywords | 電波天文学 / SIS受信機 / ミリ波 / 大質量星形成 / 分子雲 / 星間物質 / サブミリ波 / Infrared dark cloud |
Research Abstract |
本研究の目的は、ミリ波サブミリ波帯原子分子輝線観測によって、大質量星形成初期段階にある天体の化学組成に関するデータベースを構築し、それをもとに大質量星の形成過程を理解することである。本年度は、観測の効率化のために、野辺山45m望遠鏡用100GHz帯受信機のIF帯域の広帯域化(従来の4-8GHzから4-11GHzへ拡張)を実現した。実際に4-11GHzにおいて観測を行い正常に動作することを確認している。また、この改良によって、従来の4-8GHz帯における雑音温度の低下と安定性の向上も実現している。本受信機は、共同利用観測装置として本研究のみならず、多くの研究者に用いられ、様々な成果をあげることに貢献している。また、これまでに得られている観測結果と化学モデル計算の詳細な比較も行った。その結果、得られた観測結果を説明するには、大質量星形成の初期状態が小質量星のそれにくらべ高温であったか、大質量星の星なしコアのタイムスケールが小質量星に比べ短い必要があることが新たにわかった。この結果については論文にまとめており、現在、投稿準備中である。さらに、ASTE望遠鏡を用いたサブミリ波帯受信機を搭載し輝線の観測を行ったが、天候不良のため有効なデータを得ることができなかった。しかし、複数の赤外暗黒雲において中性炭素原子輝線を検出することができ、今後の詳細観測の計画を立てる上で有効なデータを得ることができた。本研究によって得られたデータは、ALMAなどを用いた観測計画を立てる上で非常に重要な役割を果たすことができ、今後の研究を発展させていく上でも貴重な情報となる。
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Research Products
(4 results)