2010 Fiscal Year Annual Research Report
広域サーベイデータを用いた過去最大の重力レンズクエーサー探索
Project/Area Number |
21740151
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 直久 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任研究員 (20462658)
|
Keywords | 重力レンズ / 観測的宇宙論 / 暗黒エネルギー / クエーサー |
Research Abstract |
平成21年度に引き続き、可視光広域サーベイ観測「スローン・ディジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」のデータを用いた重力レンズクエーサーの探索を行った。すでに開発済みの候補天体探索アルゴリズムをSDSSのデータに適用させ、得られた候補天体をハワイ大学2.2m望遠鏡などを用いて追加観測し、SDSSJ1455+1447をはじめとするおよそ10個の新しい重力レンズクエーサーの発見を公表した。また、それらの発見により、SDSSの全データ(SDSS-1およびSDSS-2の全データ)を用いた重力レンズクエーサー探索を完結させ、そのうちの約70%(77,429個のクエーサーのうち36個が重力レンズクエーサーであることを同定し、さらにそれらのうちの36,287個のクエーサーから発見された19個の重力レンズクエーサーについては"統計的な扱い"が可能となっている)をカタログとして公表している。本研究以外によって公表されている重力レンズクエーサーカタログにおいては通称"CLASS"と呼ばれているものが最大であるが、今回の公表カタログは用いたクエーサーの数および発見された重力レンズクエーサーの数の両方においてそのCLASSを大きく上回っており、あらゆる面において過去最大の重力レンズクエーサーカタログを公表することに成功した。新たに発見を公表した(あるいはこれまでに発見を公表した)重力レンズクエーサーに対する応用研究としては、SDSSJ1029+2623(現在知られている中で最大の分離角を持つ重力レンズクエーサー)に対するVLA電波望遠鏡を用いた高空間解像度の電波観測、および、SDSSJ1131+1915をはじめとする5つ重力レンズクエーサーに対する、Gemini望遠鏡を用いた"各重力レンズ天体における像の間の吸収線の差異"を測定する観測を行った。
|
Research Products
(4 results)