2010 Fiscal Year Annual Research Report
彗星の赤外線観測と採集塵の実験室分析に基づく原始太陽系星雲物質循環の解明
Project/Area Number |
21740153
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大坪 貴文 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50377925)
|
Keywords | 光学赤外線天文学 / 太陽系 / 彗星 / ケイ酸塩鉱物 / 結晶質 / すばる望遠鏡 |
Research Abstract |
彗星は原始太陽系星雲中の微惑星そのものといってもよく、その塵と氷は太陽系形成初期の情報を比較的よく保持していると予想される。そのため彗星塵中の結晶質鉱物と分子氷は原始太陽系星雲中の温度環境を知るためにも重要な手がかりの一つである。本年度前半は、これまでにすばる望遠鏡と赤外線衛星「あかり」で近・中間赤外線観測をおこなった彗星(オールト雲彗星・木星族彗星)のデータ収集と整約を行い、放射モデルを用いた解析を進めた。分子氷に関しては、ルーリン彗星(C/2007 N3)の分子組成比を明らかにし論文で公表した。彗星の氷と結晶質鉱物の起源について、今後の近・中間赤外線観測の結果を組み合わせた研究の手がかりを得ることができた。また、年度後半には、新たにすばる望遠鏡でハートレー彗星(103P/Hartley)を観測する機会を得、探査機の観測結果と比較することができる中間赤外線スペクトルを得ることができた。これに関しては、世界中の望遠鏡による観測キャンペーンの一部として、欧米の研究者との共同研究として年度中に速報論文を投稿することができた。このように、今年度は、彗星の形成領域と彗星核に含まれるケイ酸塩鉱物の結晶性と氷の分子組成比について理解を深めるデータを更に増やすことができたので、今後解析を進め、来年度は3年間の総括的な結果を公表したいと考えている。
|