2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドリップライン近傍における原子核のエキゾチック構造と非束縛状態の役割
Project/Area Number |
21740154
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
升井 洋志 Kitami Institute of Technology, 工学部, 准教授 (30396345)
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Keywords | 不安定核物理 / 共鳴状態 / 殻模型 |
Research Abstract |
近年の実験技術および理論手法の飛躍的進展により、これまでの原子核物理の概念を打ち破る可能性のある領域としてドリップライン近傍核の研究が進められている。本研究では原子核構造を核力の寄与とその影響によるコア核の構造変化および非束縛状態の役割という観点から解き明かすことが目的である。平成22年度では、これまで進めてきたM-schemによるCluster-orbital shell modelの計算手法を確立し、酸素同位体へ適用を行った。 価核子間の相互作用と核構造の密接な関係を、160をコア核としてモデル化し、束縛エネルギー、核半径、密度分布といった物理量を通して議論した。得られた結果として以下のことが挙げられる。(1)少ない価核子の束縛エネルギーを再現する単純な模型相互作用を用いた場合、ドリップラインは再現されずover bindingの傾向を示す。(2)ドリップラインを再現し、1中性子束縛エネルギーを再現するように相互作用を変化させた場合においても、核半径の急激な増加は再現されない。(3)核半径の急激な変化は「固まったコア」と「価核子」という単純な模型ではなく、コア核の様々な配位とその優位性が価核子の存在により変化することにより起こることを示唆した。
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