2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 健一 Kyushu University, 理学研究院, 助教 (40403935)
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Keywords | F-理論 / ミラージュ伝達 / LHC / フレーバー物理 / 繰り込み群 / 敷居補正 |
Research Abstract |
本研究はミラージュ伝達の拡張模型の構築とそのLHCでの検証可能性を探るためのモンテカルロシュミレーションを用いた解析に分けることができます。研究の前半は模型構築に当て、後半はシュミレーションを用いたより具体的な解析に重点を移すことで研究期間中に成果をまとめます。 平成21年度は他の研究者との何度かの議論からこれまでのIIB型超弦理論の有効理論(KKLT模型)とは異なったF理論に基づく大統一模型においてもある種の極限においてミラージュ伝達様の質量スペクトラムが実現することが分かりました。このため研究の優先順位を変更し、この種の理論の超対称性の破れの全体像とその中でのミラージュ伝達の位置づけを探る研究に重点をおきました。平成22年度以降もこの研究を進展させ、モンテカルロを用いた現象論的研究につなげる予定です。また先行研究でミラージュ伝達は最小超対称理論における電弱対称性の破れの小さな階層性問題の解決に用いることができることが明らかにされましたが、逆に通常行われているのと同程度の電弱対称性の微調整を認めると超対称粒子の質量スケールを一桁上げることができます。このような場合の現象論的帰結はLHCの物理とフレーバー物理の関係について重要な示唆を与えることが分かり、そうした状況を明らかにする研究を行いました。平成22年度もこれらの研究を継続し早急に論文にまとめる予定です。ミラージュ伝達においてシングレットや大統一理論、余分なU(1)、シーソー機構などの重い粒子を積分したときには敷居効果によりミラージュ伝達の繰り込み群による流れが変化します。平成21年度には先行研究を元に予備的な研究を行いこのような場合の低エネルギースペクトラムは大変面白い特徴を備えることが予測されました。平成22年度はこの研究をさらに発展させる予定です。平成21度はミラージュ伝達におけるグラビティーノ過剰生成の問題を解決に関しては進展がありませんでしたが、従来の解においてバリオン数が薄められる問題に関して新たなアイディアを考察しました。
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