2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 健一 九州大学, 理学研究院, 助教 (40403935)
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Keywords | ヒッグス粒子 / ミラージュ伝達 / NMSSM / ヒッグシーノ / 繰り込み群 |
Research Abstract |
本研究を取り巻く状況として前年度末からLHC実験の初期結果が公表され始め、本年度中に超対称粒子の質量下限が急速に上がり始めた。一方でヒッグス粒子の存在可能な質量領域が狭まり、130GeV近傍と超対称理論の枠組みの中ではかなり重い領域にあることが示唆されるようになった。これはナイーブには本研究計画を立1てた時点での予想と比べて超対称粒子がずっと重いことを示唆している。これらの状況に鑑み、本年度は研究の重点をLHCでの超対称粒子生成の数値シューミレーションからミラージュ伝達模型における電弱対称性の破れとヒッグス粒子の性質に移した。研究代表者の先行研究と平成21年度の本研究の成果からミラージュ伝達模型においては、ミラージュ伝達スケールを電弱対称性の破れのスケールに置く事によりこのような重い超対称粒子を比較的自然に実現できることが知られている。まず超対称粒子の質量をあまり上げずにヒッグス質量を説明するために共同研究者と共にMSSMにゲージー重項を加えたNMSSMにおいてミラージュ伝達模型の電弱対称性の破れの解析を行った。これによりNMSSMに特有の擬真空やタキオニックモードの制限の下でもミラージュ伝達模型において実験から示唆されているヒッグス質量が実現可能であることが分かった。またこの場合、ヒッグシーノは下限に近い軽い領域に存在することが分かった。一方で最小模型において実験から示唆されているヒッグス質量がミラージュ伝達においてどういう意味を持つかを調べるため、共同研究者と共に繰り込み群を用いて10TeV近くの重い超対称粒子質量領域でのヒッグス質量を計算し、超対称粒子の質量スケールの概算値を与えた。これにより、tanβの値が10よりも大きいか小さいかにより超対称粒子の質量スケールの予測が大幅に変化することが分かった。
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