2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 治 The University of Tokyo, 宇宙線研究所, 助教 (90532680)
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Keywords | 宇宙物理 / 重力波 / 計算機システム / 超精密計測 / 制御工学 |
Research Abstract |
本研究は、現在日本で主流のアナログ回路を利用した干渉計型重力波検出器の制御を、計算機を利用したデジタルシステムによる制御に置き換えることにより、干渉計の調整、雑音の除去などをより簡便にし、干渉計の感度向上に貢献することを目的としている。日本の次期大型干渉計計画LCGTではデジタル制御は必須と考えられており、そのプロトタイプであり、LCGT建設予定地と同じ場所にあるCLIOにデジタル制御を導入することで、将来計画に対する知見と、技術蓄積が見込まれる。 本年度は米国LIGOグループとの国際協力でCLIO制御用のデジタル制御システムを共同開発し、実際に神岡鉱山内に敷設されているCLIOに一部システムを導入するに至った。多チャンネルの信号間の複雑な制御に絶え得るシステムを構築し、信号の入出力及びフィルター設計の調整など、実際の重力波干渉計の制御に十分耐え得るシステムを作り上げた。 具体的には、光路長制御の中の一自由度をアナログからデジタルに置き換え、干渉計を動作状態にスムーズに持っていくことができることを確認した。動作状態になるまでの時間もアナログに比べて短縮する等、デジタル制御の優位さが示される結果となった。また、初期アラインメントの自動化の原理検証実験を行い、次年度からの本格的な干渉計動作自動化への大きな足がかりを残すことができた。さらに、R&D的な実験への応用例の一つとして、CLIOの鏡の揺れを軽減するシステムの多自由度の制御に短時間のうちに適用することができた。これは当初の計画では想定されていなかったが、デジタルシステムの汎用性の高さと、取り回しのよさを実証でき、各種R&D実験にも十分適用可能なことを示すことができた。 本年度のシンプルなシステムでの実証結果から、来年度以降の多チャンネル化を見込んだ開発が十分期待できる結果となった。
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Research Products
(3 results)