2010 Fiscal Year Annual Research Report
標準模型を超えた物理における準安定荷電粒子とその初期宇宙論・LHC現象論
Project/Area Number |
21740164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 幸一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (80431899)
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Keywords | 超対称性模 / LHC / 宇宙の再加熱温度 |
Research Abstract |
本研究の大きな目標は、準安定荷電粒子の初期宇宙論およびLHC現象論を切り口として、標準模型を超えた物理を探索する事である。 超対称性模型で超寿命スタウが存在する場合に、初期宇宙のインフレーション後の再加熱温度とLHCでのスタウの発見可能性の関連について研究を行った。 グラビティーノがLSPでスタウがNLSPである時、以下の2つの宇宙論的な制限がある。(i)スタウは長寿命となるため、ビッグバン元素合成に影響を与える。この制限を逃れるため、スタウの質量を与えた時、グラビティーノの質量に上限が与えられる。(ii)再加熱後に生成されたグラビティーノは現在の宇宙まで暗黒物質として残る。このエネルギー密度が観測されている宇宙の暗黒物質のエネルギー密度を超えないために、与えられたグラビティーノの質量の上限に対して、再加熱温度を決めると、グルイーノの質量に上限が与えられる。(i)(ii)を組み合わせると、宇宙の再加熱温度を指定すると、スタウの質量とグルイーノの質量に対して上限が与えられる事が分かる。LHCでのSUSYシグナルはグルイーノの質量に強く依存しているため、この事は、宇宙の再加熱温度とLHCでの発見可能性が強く関連している事を意味している。解析の結果、宇宙の再加熱温度が10^8GeVよりも高ければ、7TeV, 1fb^-1の初期のLHCの結果で長寿命スタウのシグナルが現れる事を示した。
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Research Products
(3 results)