2010 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウト反応を用いた原子核におけるクラスター相関の発現機構の解明
Project/Area Number |
21740171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川畑 貴裕 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80359645)
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Keywords | 実験核物理 / クラスター構造 / ノックアウト反応 |
Research Abstract |
クラスター相関の発現と消失は、自然界の様々な階層において観測される普遍的な現象であり、各階層におけるクラスター相関は、それぞれの階層におけるダイナミクスによって支配されている。クラスター相関の発現と消失は一種の相転移であり、そのメカニズムを理解することは、その階層におけるダイナミクスを理解する上で非常に重要である。核子の集合である原子核の場合、多くの核の基底状態では、核子が平均ポテンシャル中を独立に運動すると考える平均場模型が有効であり、外見上はクラスター相関を消失している。しかし、近年の申請者らによる実験研究では、クラスター相関を消失していると考えられてきた基底状態に、クラスター相関が部分的に発現していることが示唆されている。そこで本研究では、原子核の基底状態におけるクラスター相関を研究し、原子核におけるクラスター相関の発現と消失の機構を明らかにすることを目的とする。平成22年度は、大阪大学核物理研究センターのリングサイクロトロン施設において加速された400MeVαビームを用いて、24Mgを標的としたα非弾性散乱の精密測定を実施した。歪曲波ボルン近似に基づいて多重極展開解析を実施しクラスター状態の候補を発見した。さらに、α非弾性散乱と励起状態からの崩壊粒子の同時計測を実施しこれらの状態の微視的構造に係る情報を抽出した。クラスター模型計算との詳細な比較を行い、160コアを持つ2α凝縮状態の候補を発見した。
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Research Products
(4 results)