2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北澤 正清 大阪大学, 理学研究科, 助教 (10452418)
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Keywords | 量子色力学 / 格子ゲージ理論 / クォーク / 準粒子 / 相対論的重イオン衝突実験 / 熱質量 / 輸送係数 / 緩和時間 |
Research Abstract |
平成22年度は、有限温度格子QCDを用いた各種物理量の測定に精力的に取り組んだ。特に、1,非閉じ込め相におけるクォーク伝搬関数の解析、2,輸送係数の解析、3,チャーモニウムスペクトルの有限運動量における振る舞いの解析、の三つの研究テーマに重点的に取り組んだ。1に関しては、昨年から行っていたNx=128の格子上における有限運動量のクォークスペクトルの解析を本年度で全て終了させることができ、プラズミノ励起の分散関係に極値が現れるという結果を二つの温度におけるシミュレーションで最終結果として得ることができた。また、これまで行ってきた通常の方法によるスペクトルの解析に加えて逆伝搬関数の解析を行い、この解析を通して実時間関数の解析の精度を向上させることができることを論じた。2に関しては、平衡状態におけるエネルギー運動量テンソルのゆらぎを相対論的流体方程式に現れる輸送係数と結びつける定式化に基づき、格子上でエネルギー運動量テンソルの空間成分のゆらぎを測定することにより輸送係数を決定することを試みた。この研究では、物理量を得るために必要な格子上の解析がすべて終了し、現在は具体的な輸送係数の値を最終段階としてまとめている段階にある。3に関しては、解析を行うために必要なゲージ配位を生成し、虚時間相関関数の測定を行う段階まで研究を進めることができた。現在、測定により得られたデータからスペクトル関数を抽出する解析を行っている段階である。また、平成23年度にこれらの研究成果の発表を行った。
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