2010 Fiscal Year Annual Research Report
変形した中性子過剰希土類核に予想される核構造変化のサブナノ秒寿命測定による解明
Project/Area Number |
21740185
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小島 康明 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80314730)
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Keywords | 実験核物理 / 寿命測定 / 遅延同時計測 / ランタンブロマイドシンチレータ |
Research Abstract |
原子核の寿命測定を行い核データベースの一層の充実を図るとともに,遷移確率の実験的評価からいまだ十分には知られていない中性子過剰核の原子核構造を明らかにすることが研究の目的である.前年度はLaBr3およびプラスチックシンチレーション検出器から構成される測定系の整備を行ったが,今年度はそれらを京大原子炉オンライン同位体分離器と組み合わせて,短寿命核の寿命測定を実際に行った.まずはじめに既知の寿命を持つRb93およびLa148を対象とした測定を行い,測定系全体の調整とデータ解析方法の検討を行った.その結果,それぞれの核種について得られた励起準位寿命は評価値と良く一致し,本測定手法で系統誤差無しで寿命を決定できることを確認できた.さらに,それらの核種を使い,本測定装置の時間分解能を100keVという低エネルギーまで実験的に測定できた.LaBr3検出器について,このような低エネルギーまで時間分解能を直接測定したという報告はなく,新しい成果である.得られた時間分解能は100keV近傍で600psであり,300ps程度までの寿命をスロープ法で決定できる性能があることが確認できた.次に,Ce148およびCe149のベータ崩壊で生成されるPr同位体の寿命測定を行った.実験の結果,Pr148の98.2keV準位に8.5nsの寿命があることを初めて明らかにするともに,現時点では統計精度が不十分ではあるが,Pr149にもナノ秒程度の寿命を持つ準位があることが確認できた.核構造解明へのアプローチは現在行っているところであるが,この質量域のPr同位体の励起準位にナノ秒の寿命があることはこれまで知られていない現象であり,核物理上,興味深い.
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Research Products
(3 results)