2009 Fiscal Year Annual Research Report
中性子に高感度な結晶シンチレータ検出器の宇宙利用へ向けた開発
Project/Area Number |
21740186
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 弘充 Hiroshima University, 宇宙科学センター, 特任助教 (10536775)
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Keywords | 宇宙物理 / 宇宙線 / 中性子 / シンチレータ結晶 / 地球大気 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大型化が可能であり中性子を高確率で検出できる新規開発の無機シンチレータ結晶LiCaAlF_6の基礎特性を評価し、硬X線検出器の周囲に中性子用アクティブシールドとして配置することで、反同時計数から中性子バックグラウンドを効率的に除去して検出器の性能を向上できることを世界に先駆けて実証することである。 本年度は、まず共同研究先の東北大学多元物質科学研究所の吉川グループで製作されたドープ物質・ドーブ量・結晶サイズの異なるLiCaAlF_6シンチレータに^<241>Am α線源を照射することで、各サンプルの光量やエネルギー分解能、波形の減衰時定数の温度依存性を実測し、ガンマ線や荷電粒子に感度の高いBGOシンチレータと組み合わせてフォスウィッチ検出器にするにはLiCaAlF_6 (Eu)が最適であることを明らかにした。さらに実際に、それぞれ数cmサイズの大型のLiCaAlF_6 (Eu)とBGO結晶を組み合わせたフォスウィッチ検出器を作成し、この検出器に^<252>Cf中性子線源を照射することで、波形弁別によりBGOと一緒に反応したガンマ線やα線イベントを効率的に除去し、熱中性子を核捕獲したイベントのみを感度良く検出できることを明らかにした。 以上の結果などを踏まえ、このフォスウィッチ検出器は宇宙環境での使用に適していると判断されたため、現在は日米欧で共同開発しているX線偏光検出器PoGOLite気球実験に搭載されている。PoGOLite検出器は2010年8月にスウェーデンから放球されることが決まっており、今回開発したLiCaAlF_6+BGO検出器によりX線の観測にバックグラウンドとなる大気中性子のフラックスをリアルタイムに計測することで、より精度の高いX線偏光の観測結果を得ることができると期待されている。
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Research Products
(8 results)