2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740188
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
立川 崇之 Japan Atomic Energy Agency, システム計算科学センター, 研究職 (60350477)
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Keywords | 統計物理 / 重力 / 長距離力 / N体シミュレーション / 非平衡 / GPGPU |
Research Abstract |
質量、エネルギーが保存されるミクロカノニカル分布の下で、Boltzmann-Gibbsエントロピーが最大になる時の分布関数を導出し、システムの平衡状態およびそれに至る緩和過程を議論する。 我々は2005年に、エネルギー拘束条件を線形化すろことで、分布関数の収束性を数学的に証明できる、全く新しい逐次近似法を開発した(Tatekawa et al. (2005))。この手法を用いる事により、長距離力系といえども平衡状態を示す質量分布、エントロピー、温度を素早導出でき、臨界エネルギーや相転移の次数の判断も容易である。 この解析で得られた平衡状態にシステムがどのように緩和していくかを、多体シミュレーションを用いて調べる。このシミュレーションでは、一般的なモデルにおいては2体相互作用の計算が膨大なものなるため、我々はグラフィックプロセッサを活用した。GPGPUと呼ばれる大規模計算の手法を適用するシミュレーションコードを開発した。 また一方で、準平衡状態を記述する可能性があると期持される、様々なエントロピーのモデルについて、エントロピーを最大にする分布関数を導出する手法の構築を試みた。2005年に開発した方法ではBoltzraann-Gibbsエントロピー以外のエントロピーモデルヘの拡張が困難だったため、我々はまた新たな逐次近似法を開発した(Tatekawa et al, in preparation)。この方法は収束性の保鉦はないが、様々なエントロピーモデルへの応用が比較的容易である。 新たに開発した逐次近似法を用い、我々はまず平均場でポテンシャルが記述可能である空間2次元モデルの平衡状態、および準平衝と想定される状態の質量分布、温度を導出した。一方で、多体シミュレージョンを用いてカ学的発展を行い、シミュレーションで得られた準平衡状態は、様々なエンドロピーモデルで記述可能かを調査した。 平成21年度は逐次近似法計算、計算の途中段階であり、結果の妥当性を検証しているところである。これらの成果については平成22年度に学術論文発表、学会発表を行う予定である。
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