2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740190
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 知広 立教大学, 理学部, 准教授 (60402773)
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Keywords | 時空特異点 / 一般相対論 / 量子重力 / 量子宇宙論 |
Research Abstract |
2009年にHoravaによって提案された繰り込み可能な量子重力理論において時空特異点がどのように取り扱われるかは、本研究の目的に鑑み重要な問題である。我々はこの理論の赤外極限における真空球対称静的解をすべて与えその一意性を示した。(Harada,Miyamoto,Tsukamoto 2011)高エネルギー粒子衝突実験において高次元時空重力の効果が観測される可能性が議論されている。我々はLarge Hadron Colliderで観測可能な時空境界が現れる可能性を吟味した。観測可能な時空境界とは、古典重力における裸の特異点を量子重力へと拡張した概念である。(Nakao,Harada,Miyamoto 2010) 2009年に回転ブラックホール周辺で粒子が衝突するとそのエネルギーが無限に大きくなるという可能性が指摘された。我々は、ブラックホールの最内安定円軌道を運動する粒子に着目し、宇宙物理学的ブラックホールで高エネルギー衝突現象が現実的におこるという結論を得た。(Harada,Kimura 2011) Kerrブラックホール解で回転を大きくすると、ある臨界を超えたところでブラックホールではなくなり裸の特異点をもつ時空になる。この時空でガス降着の数値シミュレーションを行ったところ、赤道面上で噴出流が起きることが分かった。(Bambi,Harada,Takahashi,Yoshida 2010) 膨張宇宙におけるブラックホールおよびワームホールの大きさが宇宙時間に比例して自己相似的に大きくなる可能性に関して、これまでの研究成果をまとめた総説を著わした。(Carr,Harada,Maeda 2010) インフレーション起源の0.1Hzの重力波に最適化した観測器であるDECIGO計画に関する総説に著者の一人として参画した。(Ando et al. 2010)
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