2009 Fiscal Year Annual Research Report
重力理論検証の視点での天文単位の永年変化問題の究明
Project/Area Number |
21740193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
荒木田 英禎 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 助手 (80413970)
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Keywords | 相対論・重力波 / 位置天文学 / 理論天文学 |
Research Abstract |
太陽系内における高精度観測データは重力理論の検証にとっても有益で,今の所アインシュタインの理論を支持している.一方,観測精度の向上により既存の理論的枠組では説明が困難な事例が報告されており.我々は天文単位の永年的変化に関心を寄せている.この現象がどのような要因によって引き起こされているか明らかではないが,重力の性質と何らかの関係がある可能性ある.この問題の解明を目指し以下の研究を行なった. 1.角運動量保存則に基づく地球・月間の潮汐加速の理論を太陽・惑星系に応用し天文単位の永年的変化について一つの可能性を提示した太陽内での潮汐相互作用を仮定し.報告されたdAU=dt=15[m/世紀]の値を用い太陽の質量放出に伴う慣性モーメントの変化の寄与を調べた.特に太陽系の内惑星領域のみで天文単位の増加が起こっていると仮定した場合,天文単位の永年変化が説明可能である事を示した. 2.太陽系内のダークマターの存在から天文単位の永年的変化が説明可能か調べるために,太陽重力とダークマターがある場合の近似メトリックを導出し,このメトリックを元にレーダー信号の時間遅れと信号の周波数シフトについて考察した.さらにダークマター密度の時間変動と天文単位の永年的変化との関係を調べ,天体暦と矛盾しない現実的ダークマター密度の元では報告された天文単位の増加を説明できない事を示した. 3.ダークエネルギーの導入なしに宇宙の加速膨張を説明しようという取り組みの一つに宇宙の非一様性の立場からの護論があり,代表的なモデルにLemaitre-Tolman-Bondi解がある.この時空内での粒子軌道を考察し,天体が重力的に束縛されている系においてこのモデルに起因する宇宙論的効果について考察した.その結果非一様性に起因する効果では天文単位の永年変化を説明できない事を示した.
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