2009 Fiscal Year Annual Research Report
共形不変な有効理論によるブラックホール熱力学の解析
Project/Area Number |
21740197
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
梅津 裕志 Kushiro National College of Technology, 一般教科, 准教授 (90393420)
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Keywords | ブラックホール / 量子重力 / 共形場理論 / 行列模型 |
Research Abstract |
この研究の主要な目的は、ホーキング輻射やブラックホールエントロピーなどのブラックホールの熱力学的性質を、時空の地平近傍の有効理論などを用いて解析し、時空の微視的構造と重力の量子論的性質を理解することである。平成21年度は、まず重力理論に対する時空の地平近傍の有効理論を研究した。時空の地平近傍では球対称な場の励起が熱力学的効果に最も効いてくると期待されるので、球対称性を仮定して4次元重力理論を2次元に次元減却した。この有効理論は共形不変性を持つスカラー場の理論になる。この理論に対して、時空の地平と無限遠方においてブラックホールに対応した境界条件を課すことにより、共形変換のなす代数における中心電荷が計算できた。この中心電荷からブラックホールエントロピーを導出するために、有効理論のユニタリー性などの詳しい物理的性質を明らかにする研究を続けている。 次に、時空の微視的構造を記述する有力な方法の一つである行列模型を用いた解析を行った。行列の自由度の量子効果によって、重力場と行列模型の自由度との間の相互作用を記述する頂点演算子を含む、行列模型の有効理論が導出できることが知られている。重力に対応した行列模型の頂点演算子間の相関関数を得ることが、重力の量子論的性質を理解する上で非常に重要である。本年度はこの行列模型の持つ大きな超対称性に着目し、位相的場の理論の方法を用いて相関関数を計算する方法について研究した。頂点演算子が特殊な外線運動量を持つ場合には、位相的場の理論における相関関数として解釈できることが理解できた。しかし実際の計算を実行する上では固定点を孤立させる点で困難があり、厳密な計算には至っていない。
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Research Products
(1 results)